辻原登 「翔べ麒麟」を読んだ。 きっかけはラジオ深夜便で辻原登のインタビューを聞いたことと、「翔べ麒麟」を知ったこと。歴史上に記録された事実と、事実と事実の間の膨大な空間を創作し読み物にするという物語。阿部仲麻呂(朝衡)という遣唐使として唐に行き、唐の騒乱の時代を72歳まで生き抜いた人物を軸に、記録にない行間を豊かな創作力で紡いで唐の時代を生き生きと蘇らせてくれる。広大な大地と悠久な時間軸と、多くの登場人物を配することが可能にしているのは時代を記述した記録・文学の質・量のすごさと思う。中国三千年の歴史の重みが背景にあると思う。
玄宋皇帝、楊貴妃、楊国忠、安禄山、藤原清河、吉備真備、大伴古麻呂、王維、杜甫、李白、ほか歴史に名を残す人々の間に藤原真幸、李茉莉、李春、劉小秋、ほか、歴史の行間で活躍したであろう魅力ある人物と、正倉院に残る、金銀平文琴と、「あまのはら ふりさけみれば 春日なる 三笠の山にいでし月かも」。
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